完成度という意味ではたぶん劇場版ワンピース10作の中で一番のような気がするし――少なくとも作画は一番よかったんじゃないかな――面白かったとは思うのだけれど、観終わったら何か物足りない気がしたんですよ。
「もうちょっと尺を詰めればよかったかも」とは思うのだけれど、でもそれだけでこの「物足りない感」は解消しない気がしてます。
「キャラが増えて散漫になってるかも」とも思うのだけれど、そういう問題でもない気がする。今回はイーストブルー絡みのお話なんで「初期メンツがもっと活躍してもよかったのでは?」とか思ったけど、後期メンツの「大人組」が目立ってたわけでもないし。
あえてあげるなら段取りの悪さかもしれない。よく分かんないうちに話が進んでたような気がするから。各キャラの位置関係みたいなのがイマイチ分からなかったので、登場の仕方も唐突だったというか。
なんとなくバラバラになってた仲間が集まって、いつの間にか金獅子に襲われてナミがさらわれて、みたいな。討ち入りに行ったあとも散漫だったような気がする。
それぞれのシーンはカッコイイんだけどね。まとまりが悪いというか。
あ、そうか。これはおそらくテレビシリーズでやると面白くなった話だったんだ。そしたら個々のエピソードをもっと掘り下げることができたし。「これ、テレビシリーズのダイジェストなんだよ」って言われたら納得して「いい作品じゃん」と思った気がする。
で、『デッドエンドの冒険』を久々に視聴。
ちょっと気になったので久々に『デッドエンドの冒険』を観返してみたんですよ*1。パンフを読むとキャストのみなさんもこれがお気に入りのようでしたし、僕も好きな作品ですので。
最初に気になったのは作画。今と比べるとまだデジタル彩色がこなれてなかったのもあるし、キャラデ(絵柄)も想像以上に変わってた。これはデザインが小泉昇から佐藤雅将に変わったからではなく、原作(尾田栄一郎)の絵柄にあわせてるためな気がします。原作の絵もずいぶん変わってるしね。
お話は記憶にあった以上に「ルフィ出ずっぱり」でびっくりした(笑)。アクションシーンは結構たっぷりあるんだけど、ゾロとサンジのアクションは意外に少ないし。
それでいて他のクルーの見せ場もちゃんとあるし、印象に残ってるのが素晴らしい。
ゲストキャラも活躍するしお話的にも重要ではあるけれど、「メインはあくまでルフィ」になってるから「『ワンピース』の映画を観た」という気分になれるのだと思う。
ひるがえって。
『STRONG WORLD』はシーンが細切れで印象に残る前に終わっちゃってた気がするし、アクションも割と短いんだよね。そのせいか動きの溜めもあまりなかった気がするし*2。
あと、レイアウトがかなり大人しい。昔のアニメ版『ワンピース』には「ワンピースっぽいレイアウト」があったんだけど*3、そういうカットはなかった気がする。
もしかすると最近のTV版『ワンピース』はこんな感じなので、それらがないのを残念に思うのはただの懐古かもしれないけどね。