『あした世界が終わるとしても』に3DCGの可能性のひとつを感じた。

 『あした世界が終わるとしても』を制作しているクラフター&櫻木監督の『INGRESS』は観ててもあまりピンと来なかったので正直あまり期待していなかったのですが、劇場作品のほうはかなりいい感じに作られていました。
 キャラの表情に全振りした――というのは言い過ぎにしても、表情表現が極めて豊かで「ああ、俺は多分こういうのを観たかったんだ」と思いましたもの。「これなら手描きに勝てる」「3DCGで目指すべき方向のひとつはこれだな」とか思いながら観てました。


 ただまあ、そこが良すぎたおかげで3DCGの弱点もより感じましたし、お話はもうちょっとどうにかならなかったのかな?と残念に思う部分もそれなりにありました。
 3DCGの弱点である「キャラ数を増やしにくい」「服の皺の表現が苦手」なあたりは『INGRESS』では挑戦していたので、コストが許せばもしかするとある程度改善できるのかもしれないけれど*1。でもあの表情を出せるキャラを増やすのは大変そうだし、服装表現をあの表情クオリティと同等にするのも大変そうに見えます。
 また「手に持たせる」「抱き合う」等のオブジェクト同士の絡みはどちらもイマイチだったので、まだまだ苦手そうです。
 お話がイマイチなのはおそらくキャラ数や舞台を制限するためにああなってるのかなとは思うのですが。プロの脚本家に整理してもらったほうが「なんじゃこりゃ」感は減ったんじゃないかなぁとも思いました。
(唐突に設定説明が始まった時はかなりゲンナリしましたし)


 とはいえ、上記のイマイチな点があったうえでキャラ表現のよさの一点突破のみで「もう一度観てもいいかも」と思ったくらいですので、キャラの表情表現に全振りしたのは正解だったんじゃないでしょうか。
 アニメにおける3DCGの可能性に興味のある人には鑑賞をお薦めします。


追記(2019-01-29)

 そうそう、書き忘れてましたがちゃんとお色気(お風呂)シーンを逃げずに描いていたのもポイント高いです。
(某3DCGアニメ劇場版はちゃんと描写してなくてガッカリだったので)

*1:ただ『INGRESS』を観ててもイマイチ感は残っていたので、どの程度改善可能なのかは分かりませんが