僕はSocial FictionとしてのSF――とか書くと「社会派SF」ってことになるのかもしれませんが、社会派というより「空想社会」としてのSFが好きだったりします。
「科学」が違っていれば当然現在の社会とは違っているはずで、じゃあどんなことが変わってくるんだろう、あるいはどういう部分が変わらないんだろう――なんてことをいろいろ妄想することがあるんですよ*1。
だから現代社会と乖離が大きくてそれでいてその社会の成り立ちを納得できる説明がされている*2ような作品に出会うとセンスオブワンダーが刺激されて嬉しいのです*3。
『約束の方舟』は設定として漫画・アニメ的な「子供が大人より活躍する」「子供が大人びた行動をする」ことに対してちゃんと理由付けをしていて、それが社会に対してどのような影響があるのかも丁寧に描いている点が僕の好みでした。
主人公のシンゴはいい子すぎる気もしますが*4、そのぶんテルやスイレン、キリナといったヒロイン達の個性がよく出ていて魅力的でしたし、この手の作品では無能に書かれがちな大人達もしっかりと地に足が着いていた点もよかったです*5。
SF的な設定とか物語の展開など、他にも好きな部分がたくさんあるのですが、ネタバレせずに紹介を書くのは難しいのでそのあたりについてはまた別の機会に。