『いばらの王』の原作も読んだよ。

 映画観て「これって原作だとどうなってたんだろ?」ってのが気になって仕方なかったので、原作買って一気に読みました。
 なるほどと思いつつ、原作ファン的には映画に不満があるかもなぁ、とか思ったり。



以下、ネタバレがあります。



 一緒に観た友達に「原作では間違いなくコールドスリープのとこから始まってるでしょ」と言ってたけど、これは当然のように当たり。
 映画としてはあそこから始めるわけにはいかず――状況や設定の説明なしでは訳が分からないので、ある程度の段取りを踏む必要がありますし――連載だと逆に出だしでインパクトのあるところから始める必要がありますから(必要な説明は回が進んでからすればいいので)。アニメでもテレビシリーズなら原作みたいな感じで始まった気はします(多少は説明を増やしたかもですが)。


 逆に大外れだったのが、各主要キャラの過去話がほとんどなかった点。
 もうちょっとキャラを掘り下げてるのかと思ったら、意外に原作も主役の2人を除いてはあんまり掘り下げてなかった――というか、映画のほうが掘り下げてたんじゃないかな。
 あと、原作は意外にパニックものっぽくはなかったので(ハリウッドB級映画的*1ってのはそうだったけど)、映画版が藤澤勇希的なパニックものに見えたのは監督の方向性なのかな?*2


 原作のメインプロット3つのうち、映画で使ったのは基本的に1つだけ。まあ尺からするとコレを選択して残りをカットしたのは正解でしょう――とは思うけど、カットされた2つのプロットが好きだった人には評判が悪い気はします。
 ただ、絵柄をやや写実寄りにしたように設定をややリアル寄りに振るとなると、残り2つのプロットは完全にカットしたほうが収まりがいいですし。
 おかげでラストは全然別物になってましたが、個人的には原作のラストも「えーっ」みたいな感じだったので、映画のラストがあれでもいいんじゃね? って気はしますが(ただまあ、あれに不満があるのは分かる)。


 そんなわけで、映画観て面白かったと思った人は原作も読んでみるといいんじゃないかな。
 プロットは同じ部分もあるけど、全然違う話で、でもまあトータルでは似たような印象の話になるのかな――と思ったらやっぱり全然違うという感じで(笑)、なかなか読み応えがありましたし。

*1:そういや劇場版『TRIGUN』もわりとそんな感じですよね。

*2:だとしたら片山監督には是非とも『BM』を監督して欲しいものです。