アニメスタイル011の簡素な感想
ユーリ!!! on ICE
久保さんがネームで作った脚本を山本監督がコンテに起こした、というやり方で漫画とアニメのいいところがうまくいってたんだなと強く感じる。
(そういう意味では漫画の字コンテを原作として使っている『Re:CREATORS』とは方向性が違う)
それにしてもネームもリテイクしてたとは。今後は漫画家がオリジナルアニメに強くコミットする作品が増えるかな?と思ってたけど、話を聞いてるとここまでうまくハマるのはなかなか出てこないのかもしれない。
座談会で平松さんが「1話のハードルをすごく上げた」的な話をしてたけど、水島監督の記事でも似たような話をしてたのを思い出した。
フリップフラッパーズ
「目が大きい」のを気にしてる人が多かったのね。僕は「久々に漫画チックなデザインだなぁ」くらいの印象だったのだけど。
(同時期にやってた『装神少女まとい』も割とそんな印象だった。けど、比較すると『フリフラ』ほどではないか)
オカルティック・ナイン
脚本の枚数とカット数の話は興味深かった。「多い」とされてる作品がどれくらいなのかまとめてる人いないのかな。『エヴァ』好きの話が出ていたけれど、その意味では同じように台詞詰め込み系だった『シン・ゴジラ』の公開から間がない放映だったのはなかなかのシンクロニシティだったのかもしれない。
高瀬智章さんは『虹色ほたる』で活躍されてた方だったのね。アニメスタイル002読み返さないと。
終末のイゼッタ
亜細亜堂の危機感が興味深かった。
同じ問題は東映アニメーションにもあるはずなんだけど*1。『プリキュア』がなかったら今頃大変なことになってたかもしれないなあ、という気がしてる。
(高瀬智章さんが再び東映で何かやったりするのかな?という点は気になる)
3DCGに慣れてないスタジオと慣れてるスタジオで差がかなりついてそうな気がするけど、そのぶん3DCGスタジオ側のほうが慣れてるのでカバーできてるのかもしれない。
響け!ユーフォニアム2
監督とシリーズ構成で意識している点の差、みたいな話は興味深かった。『イゼッタ』の吉野さんの話でも思ったけど、監督は作品のほうを見ていて、シリーズ構成は視聴者のほうを見てるケースが多いのかな?
総集編劇場版が今から楽しみです。
*1:ただ、最大手であることもあり「人材流出してもそれで業界が豊かになる」的な発言もしてる。
書籍在庫の正しい探し方。
Amazonの在庫はあてにならないよ!という話があったので。
書籍はどこで買ってもいいわけですし。
通販在庫の正しい探し方。
- 書籍横断検索システム
- ネット在庫.com
ネット通販については上記2サイトでだいたい網羅できてる気がする。
ヨドバシの在庫が分からないのが残念。
(書籍横断検索システムはヨドバシがあるけど、全て取り扱いナシになる)
漫画家が参画するアニメオリジナル作品は増えていく?
『ユーリ!!!』がヒットしているのを見て「既にある漫画の原作者としてじゃなくて、アニメオリジナル作品に漫画家がキャラクター原案じゃなくてシナリオ(原案)として絡んでるのは珍しい気がするなぁ。今後流行るのかな?」なんて思ってたのですが、『Re:CREATORS』もそういうタイプの作品でびっくりでした。タイミングからすると『ユーリ!!!』とは関係なく企画が進んでいたのでしょうし。
『Re:CREATORS』がヒットしたらさらに漫画家が引っ張り出されそうな気がするので、今後の動向が気になります。
(『Re:CREATORS』のほうはさらに「製作委員会じゃない」点も気になるところですが)
現役の連載作家をアニメ制作にガッツリ参加させるのはなかなか難しそうですが、引退宣言をした新谷かおる先生とかは超狙われてるんじゃないでしょうかね。
(既に水面下で進行してても不思議じゃない気もする)
大物でなくとも最近連載してないマニア系な漫画家さんにスポットがあたったりしないか期待したいところです。
アニメビジエンスVol.13
今までは定期購読を使ってたので、Vol.13が出てるのに気づくのが遅れてしまった。もう定期購読はやらないのかな?
パッケージについて
冒頭記事に収入比率について触れてるのだけれど、
「パッケージ:配信:商品化(マーチャン):海外販売」の割合が、数年前時点では体感で「75:5:10:10」(略)。
しかし現在の比率は「20:30:10:40」。
――と書いているにも関わらず、その直後に
(略)遠からず、配信や海外販売の割合がパッケージ収入と逆転する時代が訪れるであろう。
――とあるので文章が破綻している(現在の比率が正しければ、既に逆転している)。
これは「現在の比率」が間違っているのか、誰も校正していないため変な文章になっているのか、どちらかなのだと思うけれど。
また「海外の配信」が配信なのか海外販売のどちらなのかが気になるところ。上記の比率が正しければおそらく「海外販売」になるだろうけど*1、だとすれば国内配信がパッケージより大きい扱いになっている点が気になる。
(その意味でも「現在の比率が間違っている」可能性が相応にある気がしている)
2016年のBD販売数量トップを見ると「バンダイ強え」という感じだけれど、実際にはアニプレックスも強いはずで、レーベルに関してまとめた記事が欲しいところ。
ビジエンスではやらないだろうしアニメ系メディアでもそういった記事はやらないだろうから、個人ブログで誰かやってたりしないかな?*2
売上を見るより*3、各レーベルの作品数(オリジナルと原作の別があるとなおよい)と各年の代表的な作品を並べるだけでも興味深いものになりそうなんだけど。
(メディア芸術データベースに製作委員会の内訳情報もあるみたいではある)
音楽もの強し
エイベックス第2制作課の話で興味深かったのは「音楽ものが強え」って点で、『ユーリ!!!』も音楽ものだという指摘は納得。新作の『エスカクロン』も音楽ものだそうで、総監督が『アイカツ!』スーパーバイザーだった水島精二さんという点でも期待できそう。
他社も音楽ものは概ね好調に見えるので*4、今後もしばらくは音楽ものアニメが増えそうな気がします。
(そういや『君の名は。』もある意味音楽ものだった気もするし)
それはそれとして、田中Pが「声優をゴリ押ししてるのは理由があるんだよ!」と力説してるのはよかった。
(田中Pが言ってるような理由で声優を選ぶのは、他では主に音響監督がやっていることだと思われるし、割と「監督が呼んだ」ケースも多いんじゃないかと思うけどね)
海外ネタ
「Anime Now!」という海外向け新作情報サイトが始まってたのは知らんかった。日本でも新作情報を確認するのは大変だからなぁ。
(日本向けだとアニメスタイル/AV Watch/GIGAZINE等各サイトでリストを作成してるけど)
「中立性」について非常に気にしてるところが興味深い。
Crunchrollの2016年第4四半期の人気作品は『ユーリ!!! on ICE』『DRIFTERS』『競女!!!!!!!!』だった模様。
『競女』は海外でのアニメ人気が高かったようなので、原作漫画(の翻訳版)が売られてたのかはちょっと気になる。
(原作でちょっと残念な話があったので)
あとは『終末のイゼッタ』は主に米国で、『ブレイブウィッチーズ』が主に欧州で人気だったらしいのは地域特性なんでしょうかね。
(両方の地域でCrunchrollで配信してたかどうか分からなかったので、その関係かもしれないけど)
「創」2017年5・6月号雑感
漫画・アニメに関する定点観測的なモノ。
(いつも載ってるグラフなので今更だけど)少年・少女誌は1996年をピークにほぼ同じような調子で減ってるけど、青年・レディスコミック誌は1999〜2000年と2009〜2010年に大きく減ってるのが気になるな。なんでだろ。
(グラフはこちら)
興味深かったのは電子書籍関連と新文芸・KADOKAWAの話かな。
電子書籍関連
「マンガワン」は相変わらず好調なようで、もうすぐ1千万ダウンロードいきそうだとか*1。「ジャンプ+」は650万くらいらしい。
「IT系が描き手を抱えることに不安」とあったけど、「comico」も結局『ReLIFE』のみだったように見えるし、杞憂な気もする(僕が知らないだけの可能性も高いけど)。まあ、このあたりは出版社が対応し始めてて出版系のネット漫画が好調なためかもしれない。
『ちいさいひと』が売れてたのがネット広告のおかげなのは知ってたけど、プロモーションしてたのは「まんが王国」だったとのこと(それが女性層に響いたらしい)*2。
電子書籍はサイト毎に読者層が違うのでそれぞれに合わせたアプローチが重要、というのは確かに。最近はストア側から販売企画を提案してくることが増えたそうで、これはいい傾向のような気がする。
(そういう意味ではネット民の意見は偏り過ぎてて全く参考にならないんだろうなと思う)
また女性向けは1話単位の販売が好調とのこと。このあたりは携帯コミックからの流れもあるのかもしれない。
新文芸・KADOKAWA
KADOKAWAの「新文芸」にまつわる話で興味深かったのは「ラノベに比べて欧米で売れている」という点。学生がメインだと欧米で売りにくいという話を昔読んだ気がするので、そういう意味では納得。
(欧米でも売れてると聞く『SAO』もあまり学生感がないしね)
「カクヨム」は割と好調とのことだけど、はてな民的な盛り上がりはあまりなかった気がするので意外だった(いや、はてな民的に盛り上がってないほうがいいのかも)。
*1:2017-04-15追記:アプリ内で1千万ダウンロード突破の告知があった。ちなみに600万ダウンロード突破は2016年6月だった模様。
*2:2017-04-15追記:「まんが王国」の取り組みについてのインタビュー
アニメ制作の費用が増えてもホントに改善されるのだろうか
「週刊東洋経済」のアニメ記事をようやく読んだ。特に目新しい点はないけれど、現状を俯瞰した記事としてはそれなりにまとまっている気がする。
メイン担当は「杉本りうこ」「前田佳子」とのこと。確かにアニメ記事多いね。
(なお、他にも執筆者はいます)
記事内で「本当は1話制作費が3千万〜4千万円必要」という話があったけれど、「制作費が上がったときに単価が上がるのか?」という疑念がある。
「制作費増えたので作画枚数1万枚使います、ただし動画単価据え置き」とか「制作費増えたのでギリギリまで粘って海外動仕日帰り電送料金割り増しでも安心」とかなったらダメですよね。制作会社の管理能力も問われます。 https://t.co/KmyazSIkTQ
— 入江泰浩@Yasuhiro Irie (@IRICOMIX) 2017年3月30日
――とあるように、単価はあまり上がらずに作画枚数が増えるだけじゃね?という気はする。
(あるいは他の部分に使われるか)
あと、この手の話題では「予算」の話しか出ないけど、実際には製作委員会が予算を投入してからそれを回収するまでの「期間」についても重要なんじゃないのかな。
例えば以前ポリゴン・ピクチュアズが「放映前に全話納品」という話をしてたけど、それを他社がやらないのは「回収期間が長すぎる」という点もあるような気がする。実際『亜人』では劇場公開することでTV放映より前に費用をある程度回収してたし、それがうまくいったのか『チェンクロ』『ゆゆゆ』でも同様のことをやってるように見えるし。
そういう意味ではバンダイがやってる「劇場作品をTV放映する」のとはちょっと違う気がする。あれは劇場公開(およびそれのパッケージ販売)がメインだけど、他社のはTV放映がメインに見えるからね。
それはそれとして。
一部で話題になってた「見るべきアニメ」について、各作品を推薦してた方は以下の通りでした。推薦理由も書かれてたので、気になる方はバックナンバーをチェックするのがいいのではないでしょうか。
ちなみにアニメ記事以外では図書館の使い方が載ってたのが興味深かったです。
『負け組ハード列伝』読了
『負け組ハード列伝』ホビーパソコン編・家庭用ゲーム機編を読み終えた。知らなかった機種や当時は気にしてなかったスペックが分かり、懐古趣味的にはなかなかよかった。
ハードのスペック紹介に続いてゲームソフトが紹介されていた点も、昔あったハード紹介書籍*1を思い出したりしてポイントが高い。
ただ、誤字脱字が散見されたり、記憶違いと思われる点や雑な推測になっている部分もそれなりにあるためどこまで信用していいのか分からないのが残念なところ。
資料性という意味ではスペック表のところに発売日は入れておいて欲しかった。また、海外製品(代理販売含む)については当時のドル円相場も書いたほうがよかったのでは?という気もする。
(当時のレートだと米国では手頃な価格でも日本では割高だったのでは? と思われる製品もあったため)
『負け組ハード列伝』に載ってないハードが気になるけれど、『興亡史』のほうに載ってるのかなぁ。結構前に出てた本なので立ち読みで確認できないのがつらいところ。
(目次では確認できなかったので)