いまさら『とらドラ!』を語ってみる。
ようやく原作の最終巻を読んで――つまりこの前同人ネタを書いた時にはまだ読んでなかったわけですが――アニメを見返して思った事をつらつらと。
『とらドラ!』の最終巻が出る前(アニメもラスト3話を残してるくらいかな?)に、
アニメが終わるまで原作最終巻を読まない予定なのだけど、なんか既に最終刊が出てるみたいなので、だらだらと。
アニメが終わるまで原作最終巻を読まない予定なのだけど、なんか既に最終刊が出... - とらドラ! - 浅倉卓司 - はてなハイク
大河は独り立ちしないままなのか。
竜児は保護者のままなのか。
実乃梨はどんな結論を出すのか。
祐作は相変わらず蚊帳の外なのか。
そして亜美はこのまま傍観を決め込むのか、最後の最後で腹をくくるのか。
――あたりがどうなるのか気になるところ。
個人的な(ドラマの)趣味で言えば(現状のままで)大河と竜児がくっつくのは傷のなめあいチックでイヤなのです。
だからくっつくんであれば、それをひっくり返す要素が出て欲しいところ。
あるいは出てこないんであれば「結局みんなバラバラになっちゃったね」的な終わり方がいいんじゃないの、みたいなね。
――ってなことを思ってて、けっきょく原作でもアニメでもこれらは解消しなかったのだけれど。
それでもアニメでは亜美と実乃梨に対するちょっとしたフォローがあったし、一度は竜児と大河が別れることになったという点で、僕はアニメ版のラストのほうが好きです。
(原作版は傷のなめあいチックさが強いのもマイナス点ですしね)
ラストをどうしてああいう風に大きく変えたのかは大変気になるところですが――脚本時点で原作が上がってなかったのはそうだろうけれど、最後でまるっきり違うお話にしたのは何らかの判断が働いたんだろうと思うし。それが今後どこかで語られるのかは分からないけれど――原作から離れたおかげでアニメのラスト2話はよりいっそう映像的な見せ方が良くなっている印象はあります。
(原作最終巻をアニメ化すると、かなりタルくてつまんなくなってた気はします。アニメスタッフは超凄腕なのであれを面白くしてた可能性もありますけれど、絵的にはつまんなくなってただろうなと)
原作の見せ場としてはクラスメイトが竜児・大河のエスケープを助けるところと、ゆりちゃん先生が啖呵を切るところがあって、そこがアニメ化されなかったのを残念に思う人がそれなりにいそうですけれど。
そのかわりアニメ版ではメールのやりとりとかクリスマスの星とかクラスメイトの集合写真があったので、2年C組の扱いとしてはどちらも一長一短だったかなという気はします(実乃梨の語りと亜美の告白がある点でアニメのほうが好きですけれど)。
他にもアニメでは亜美と実乃梨のやりとりとか(亜美の家から帰る時とか、学校での会話とか)、竜児と大河のキスシーンとか、インコちゃんの扱いとか(笑)、かなーり細かい部分を拾ってるのがいい感じだと思うのです(原作の最終巻はあまり印象に残るエピソードがなかったですし)。
この前も書いたけど、亜美の恋心や竜児の大河への想いの自覚のあたりをきちんと描かなかった点はかなり不満で、自分でちょろっと書いてみて「あんがい普通にエピソードはさめるじゃん!」という思いを新たにしましたし。
なんというか、原作者は竜児と大河以外について書けなくなってたのかな?という印象が微妙にあるんですよね(さすがにそんなことは言わないでしょうけれど)。
――というのが、『とらドラ!』を最後までみた感想。
いろいろ書いちゃいましたが、トータルでいい作品でした。
アニメDVDのパッケージ構成がエライ
このまえちょっと書いたけど、DVDのパッケージ構成が秀逸で、
- 1巻「竜虎の出会い編」
- 第1話 虎と竜
- 第2話 竜児と大河
- 第3話 君の歌
- 第4話 あのときの顔
- 2巻「亜美登場編」
- 第5話 かわしまあみ
- 第6話 ほんとの自分
- 第7話 プールびらき
- 3巻「夏休み別荘編」
- 第8話 だれのため
- 第9話 海にいこうと君は
- 第10話 花火
- 4巻「大橋高校文化祭編」
- 第11話 大橋高校文化祭【前編】
- 第12話 大橋高校文化祭【中編】
- 第13話 大橋高校文化祭【後編】
- 5巻「北村と生徒会編」
- 第14話 しあわせの手乗りタイガー
- 第15話 星は、遠く
- 第16話 踏み出す一歩
- 6巻「しあわせのクリスマス編」
- 第17話 クリスマスに水星は逆行する
- 第18話 もみの木の下で
- 第19話 聖夜祭
- 7巻「修学旅行スキー編」
- 第20話 ずっと、このまま
- 第21話 どうしたって
- 第22話 君のいる景色
- 8巻「とらドラ!」
- 第23話 進むべき道
- 第24話 告白
- 第25話 とらドラ!
――みたいにパッケージにサブタイトルが付いていないのが不思議なくらいの綺麗な構成になっていまして。
アニメのパッケージソフトって単巻できちんと見れるようになっていないケースばかりでずっと残念に思っていたのですが――昔みたいにほぼ全部1話完結なら問題ないとは思うけれど、最近はそうでもないでしょ?――『とらドラ!』に関して言えばちゃんと単巻でも楽しめるようになってるわけです*1。
これは偶然なんかじゃなくて、1巻が4話収録になったから第4話にオリジナルエピソードを入れたんだと思うし、第14話の構成が特殊なのも生徒会ネタでその巻をまとめるために思えるし。
オープニング/エンディングを差し替えたのが14話ではなくて17話なのはそこから作風がシリアスに変わるという示唆なのだろうけれど、それもちゃんと6巻冒頭から変わるようになってるわけです。
そんなわけで、全26話だったり第1巻が3話収録だったりして最終巻が4話収録になっていたら、7巻8巻の構成はずいぶん変わってた可能性はあるんじゃないかって気がしてます。――例えば尺を考えると、原作最終巻のエピソードも盛り込んだうえで今回のようなアニメオリジナルのラストにしてたかもしれません*2。
ほかにもピンポイントで作画にこだわってみたり、表情の表現にこだわりがあったり、さらには撮影や色彩設計が凄くよかったりというふうに、久々にスタッフ全体を通して「素晴らしい!」と思えた作品でした。
(アニメ誌ではまず取り上げられない部分でこだわって作ってる感じがしたというか――おそらく作画についてはどこかで取り上げただろうけれど、DVDのパッケージングとか色彩設計や撮影処理について取材なんかしてないでしょ?)