アニメの売り方・2009

 『こわれかけのオルゴール』を観ながら「これ、一般流通で売れると思う?」「いやあ、売れん出しょう」みたいな話を友人としてたわけですが、同人流通(即売会+同人ショップ)で1万部くらいは売れそうです。もし本当にそれくらい売れるなら、そのへんの市販のアニメより売れてることになるわけです。
(今後一般販売するようになるのかは興味深いところ)


 そう考えると希有馬さんが言うように「アニメにお金を支払わない」ってことはなくて、やっぱ売り方じゃねーの? とか思うわけですよ。
 資本としては同人アニメと変わらないと思われる『いっしょにとれーにんぐ』は一般流通を選んで2万本以上売れてたらしく*1、第2段の『いっしょにすりーぴんぐ』が発表されてますし。
 漫画の単行本と抱き合わせのアニメも本数は出てるわけです。


 もしかすると売り方の問題じゃなくて、単に「安いから売れてる」のかもしれません。たとえば単発もので完結してて、2000〜3000円くらいならお金を払ってもいいと思ってる人が多い可能性もあるんじゃないのかな。
 『いっしょに』シリーズはそのあたりの価格帯を狙ってるんだと思うし、『こわれかけのオルゴール』は書籍が付いて3500円ですので書籍が1500円だとすればアニメは2000円です。
 漫画の単行本との抱き合わせはモノによるけど、だいたい単行本の定価+3000円くらいですし。


 TVシリーズに比べれば制作費は抑えられてるから制作スタジオも出資しやすいと思うので、もっと増えていってもいいと思うんですけれどね。
 OVA時代に戻った感じ、といえばいいのかな。

OVA時代ふたたび?

 以前から言われているようにTVシリーズにするのは「TVで放映するコストをかけても、認知度を上げたほうが利益が出るため」だったと思うのですが、だとすればAT-Xのみで放映している作品*2は、どういう意図でTVシリーズにしているのかは気になるところです。
AT-Xからは地上波と違って放映料収入があるかな?)


 「TVシリーズにしない」という選択をするのであれば、別に30分*3フォーマットにこだわる必要はないし、12本〜13本作らなくちゃいけないってこともないですし。もっと色々できると思うんですよ。
 例えば『紅』とセット売りをしていた『電波的な彼女〜幸福ゲーム〜』は45分でした。出来はめちゃ良くて、これで3,500円ならまあいいかと思いましたしね。
(ちなみに僕は原作を全く知りませんが、それでもちゃんと理解できる作品になってましたし、面白かったです)


 アニメを書籍として流通させるだけで販売数を大幅に増やす事が出来るし、販売数を見込めるために価格もOVAに比べれば割安にできるわけで、今以上にこういう形で流通するアニメが増えていくんじゃないですかね。
小学館もそろそろやるのかな? 『絶対可憐チルドレン』のOVAは出版流通じゃないかと思ってるんだけど)


 劇場作品が増えてるのも「TVシリーズにしない」という流れの一環であって、

  • TVシリーズよりコストがかからない(劇場作品はTVシリーズの半分くらい?)
  • 劇場上映による収益を見込める

――というコストメリットがあって、パッケージの売り上げは

  • TVシリーズは3万円で5千本
  • 劇場作品は5千円で1.5万本

――くらいを狙っているんじゃないかと予想しています。


 今まではTV放映という絶大な広告(告知)をせずに上手くいくのかが分からなくて様子見だったと思うのですが、上手くいった実例が出てきたおかげでTVシリーズ以外がどんどん増えてる状況なんでしょう。
 買う・観る立場としては、90分〜120分くらいで視聴できて(完結してて)値段も5千円くらいだとお手頃なので、そういう作品が増えるのは大歓迎です。

*1:こちらは同人流通だとこんなに売れなかった気がします。この違いは興味深いところ。

*2:ちゅーぶら!!』とか。

*3:正確には23分くらい?