新しい作家の見つけ方。

 若木民喜先生がいろいろ書かれていて――それらについてはいくつか思うことがあるので、そのうちまた書こうと思うのですが――特に「新人のために雑誌が必要だ」という点について。

これでもいいってんならいいけど、ボク的にはまだ雑誌がなくなってはいけないと思う。可能性のある新人を紹介できる代替メディアがまだないから。前にもブログで書いたけど、部数の出る雑誌を守ることはマンガ界全体の絶対的使命のような気がする。

:: 5/7:サンデーだけど友情パワー。 | HoneyDipped ::


 これはいままで知らなかった作家を知るのは

雑誌 >> 他人によるの紹介、書店で見かけたから

――ということであり、そして紹介や書店では有望な新人を発見するのはかなり難しいということでしょう。僕も常々そう思っています。


 「ウェブで無料で公開すればいいじゃん」って意見もあるけど、そもそもウェブで漫画を読んでる人はまだまだ少ないし、知らない新人の作品を全部チェックする物好きなんてのはさらに少ないわけで。
 そもそもウェブは選んだ作品しか目に入らないので、新規開拓には全然向かないんですよ。せいぜいタイトルとトビラ絵が見えるくらいだから、情報量としては書店で単行本の表紙を見て判断するのと変わらない。しかも書店に比べて解像度も一覧性も低いから、ウェブで「なんとなく」知らない作品をチェックする可能性は限りなく低い。
 ウェブが代替するのは雑誌や書店ではなくて「他人による紹介」になるわけですが、これは結局既存メディアの「書評」以上ではないですからね。そして書評に新人作家が選ばれる可能性はやっぱり低い。
(ついでに、近場にいる友達による紹介なら作品を貸してもらえるけど、ウェブではそれもできないしね)


 それに対して雑誌の場合、お目当ての作品しか読まない人でもその作品を探すために前後の作品も自然に目に入るのが大きい。目に入った瞬間に何か「おっ?」と思うものがあれば、その作品を読んでくれる可能性が上がるわけです。
(だから新連載は基本的に一番目立つ巻頭に置いてるんでしょう)
 さらには「買ったからにはだいたい全部読む」人も多いわけで。おかげで新人の作品も読んでもらえる可能性は高い。


 ――というわけで、少なくとも現状は部数が出る雑誌を維持するのは重要なわけですよ。
(既に有名になってる作家なら「雑誌なんていらん!」と言えるでしょうけれど)
 部数の多いメジャー誌でデビューしてファンを多く獲得すれば、その後マイナー誌に移籍したり同人誌を作ったりしてもついてきてくれるわけで。
 このあたりは新しく雑誌を立ち上げる時も効果があるので、とにかく「部数の出る雑誌を守ることはマンガ界全体の絶対的使命」ってのは本当にそうだと思います。