ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島(ネタバレ有り)

 今回の劇場版ワンピースは細田守さんということでアニオタ方面では話題になりそうだけれど*1、ワンピースの劇場作品としては物足りないものでした。
 映像的な良さには定評があり、そういう部分では期待どおりの出来ではあったけれど、いままで長編を手がけてないために「ひょっとして構成が弱いのではないか」という予想は、今回の劇場作品を見る限りでは当たっていたかな、と思う。


 「ひとり残された寂しさ」や「仲間の大切さ」を前面に押し出すのであれば、「仲間割れ」をことさら強調したのはディレクション・ミスだったのではないだろうか。
 仲間割れしていた仲間が何かのきっかけで団結を取り戻す、といった展開も特になかったし。徐々に仲間が減っていくことで仲間への思いを見せるのであれば、あのような形で仲間割れさせる必要は特になかったように思う。
 逆に「大切な仲間を取り戻す」という点で、ルフィが力を尽くさなかったように見えるのは明らかにマイナスであろう。


 特にお祭り男爵から仲間を取り替えずくだりは、ルフィ自身の手でやるべきだった。
 「新しい仲間」として***が行動を起こすのは必要だったと思うけれど、それでも最後の最後ではルフィが片をつけるべきだった。ラスト付近の絶体絶命の状態からどうやってルフィが起死回生するのだろうと期待して見ていたら、結局***の一撃であっさりと終わらせてしまったのは、脚本として力不足の感が否めない。
 「ワンピースは少年漫画の王道である」との認識があったにも関わらずこのようなオチにしてしまったのは明らかに監督のミスあるいは力不足であろう*2。王道を外すのを狙ってたんなら、まあ別にあれでもいいけどさ。


 とはいえ、画面密度の高さやアクションなど、劇場作品として見応えがあったのは確か。少なくとも劇場版ワンピースとしては2番目に面白かったと思います、はい。


 以下、記憶に残ったシーンなど:

・オープニングの海や空の鮮やかな青
・キャラの表情がデジモンっぽかった
・ウソップの飛行シーン

*1:ああでも、普通は「ローレライ」に行くか。

*2:これについて、「脚本家がダメなのであって監督は悪くない」とは思わない。この脚本を通したのは監督なのだし、変更しようと思えば出来たはずだから。